1|2|3|4

湯けむり求めて野沢温泉
野沢温泉には外湯と呼ばれる共同浴場が、13カ所もある。何れも地元の人と野沢温泉宿泊客に無料で開放されているので、是非一泊してそれぞれの温泉を楽しみたい。その中でも大湯は江戸時代の銭湯の作りをしており、木造の立派な湯家建築だ。平成六年までは江戸時代の建物そのままだったのだが、老朽化が激しく、建て替えられた。それでもその当時の湯家建築を忠実に再現しており、湯気抜きの塔が付き、湯船につかると天井がとても高く見える。
野沢温泉街の奥まった、急な坂道を上っていくと麻釜と呼ばれる源泉がある。大釜、丸釜、ゆで釜、竹のし釜、下釜の5つからなり、通称『野沢温泉の台所』と呼ばれている。
今でも地元の人はふき、わらびなどの山菜や、野菜を湯がきに来る。
「自分の家で茹でるよりも、甘みが出て、色合いがとても良く出るんだよ」と教えてくれたおばちゃんは、毎日来るという。風下にいるとふきの湯がかれる香りが漂ってくる。泉温もいつも変わらず90度以上あるので、あくも良く抜けるのだそうだ。
野沢菜の若いものはとても柔らかく癖がないので、おひたし向き。大きくなったものは炒めて、しょうゆ、砂糖で軽く味を付け、豆腐をくわえるとおいしいとも教えてもらった。
ずっと昔から変わらず、山の恵みを大切に生きてきた地元の人からいただいた山菜の味は、ほろ苦く、そして甘く感じた。

●管理の行き届いた浴室【写真は大湯】
どこの浴場も村民による管理が行き届いていて実に清潔。各浴場に書いてあるマナーは絶対に守りたい。
●大湯
村内に13カ所ある共同浴場は、住民と宿泊者のために無料で開放されている。江戸時代の美しい建築の趣を残す大湯は代表格。

●麻釜
100度近くの熱湯が湧き野沢温泉の源泉。大釜、丸釜、ゆで釜、竹のし釜、下釜の5つがあり、国の天然記念物に指定されている。かつてここで繊維を柔らかくするために麻をさらしたことから、「麻釜」と名付けられた。とれたての山菜が見る見るうちに色鮮やかに湯がかれていた。
●ゆがいた山菜を水でさらす
ゆで加減は長年の感。ここで茹でると色の鮮やかさと甘みがまったく違う。毎日ここに来るというお母さん。
●野沢温泉街
既成のお土産の他にとれたての山菜や、キノコ、豆などが売られている。湯上がりに下駄の音を鳴らしながらの散策コースにうってつけ。