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路面電車 夜景
●鹿児島市民の足、ちんちん電車も現役だ。
鹿児島市内には路面電車(市営)が走っている。昔は7路線ぐらいあったのだが、現在は2路線が運行されている。路面電車はCO2や新設コスト削減、交通渋滞解消の有効な手段としてヨーロッパでは見直されているのだが。猛スピードで走り抜けていく車と張り合うことなく、マイペースでごとごとと線路を踏みしめながら走っていく姿に、安堵感を覚えた。
●城山からの鹿児島市内の夜景
市内中央に位置する海抜100メートルの山。頂上の展望台からは、市街の夜景や桜島の絶好のビューポイントとなっている。
朝市 異人館

●滑川朝市は驚くほど安い。(西鹿児島駅前)

戦後、昭和23年に始まった「西鹿児島駅前朝市」。当時、鹿児島本線・指宿線など沿線の農家の人々が野菜や魚、生花を持ち寄り、市場を開いたことがその始まりである。

●木造二階建ての異人館

日本初の洋式紡績工場の指導に当たった英国人技師の宿舎として建てられた。日本における初期の西洋建築の代表例としても重要な建築物。磯庭園の近くにひっそりと建っている。
薩摩切り子
●手作りの職人技が光る
高校を卒業して入ってくる若者が多い。そのためとまどいも多いが、だんだんとガラスの魅力に引き込まれてくると言う。普通のサラリーマンでは味わうことのできない、もの作りの喜びが真剣な眼差しからも感じられた。

見所いっぱい市内見物
 九州鹿児島と言えば桜島である。ところがあいにく天気が悪く厚い雲に覆われていた。あの勇壮な景色を見てみたかったのだが、とりあえずは市内見物とあいまった。
西鹿児島の駅前には常設の朝市がある。昭和23年に始まり、現在の場所に落ち着いたと言うから年期ものだ。行ってみるととにかくにぎやかなのには驚きだ。狭い通路などひしめき合っているほど。観光気分であまりまごまごしていると迷惑をかけてしまいそう。ここは鹿児島市民の生活の場所なのだ。
 ここは三つの市場からなっているというのだが、初めてだとよく分からない。テント作りのアーケード街には、農家のおばちゃんたちがござを広げ、所狭しと朝採れの新鮮な野菜を並べている。お盆も間近と言うこともあって、お供え用の花なども目立つ。
 それにしてもここの安さには驚かされた。見事な大きさのとうがんは三本入っていて五〇円。ほとんどただ同然。プリプリのきゅうりは香りがするくらいで新鮮そのもの。おばちゃんが顔をしわくちゃにしながら言っていた。
「鹿児島に住んでいるとお金かからんとよ。」
朝の六時半には黒山の人だかり。

時を越え復活した薩摩切子
 次に目指すは薩摩切子を復活させたという、薩摩ガラス工芸。磯庭園の手前、鳥越トンネルの先にあり、製造工程の見学もできる。中では若い職人さんが真剣そのもので作業に励んでいた。と言うのも、この薩摩切子は製造が絶えてから、百年ほど建って復活されたものなのだ。昭和六十年四月に設立され、数少ない文献を便りに試行錯誤が繰り返された。現在ではオリジナルの創作品も数多く展示してあり、お土産としても喜ばれている。
 薩摩切子は透明なガラスに色ガラスを1〜5oくらいに厚く被せ、これにカットをすることにより、その境を曖昧にしてぼかしを出すのが特徴。時を越え復元された鮮やかな色合いのグラデーションはガラスの魅力をさらに深いものとしている。ずーと見ていても飽きの来ない芸術品だ。このグラスでワインやお酒をいただければ、さぞおいしいだろう。お土産にはブローチなどが手頃。

豚しゃぶにしたつづみ
 鹿児島に来たら絶対食べてもらいたいのが、薩摩揚げ。こちらのものはひと味もふた味も違う。何も付けずに大根下ろしと一緒にいただくのだが、口の中いっぱいに広がる香ばしい風味は鹿児島ならではのものだ。練り物はちょっとという人でもこのうまさには微笑むはずだ。
もう一つが黒豚のしゃぶしゃぶ。下手な牛のしゃぶしゃぶを食べるより、よっぽどうまい。肉の味わいがしっかりとしていて、まさに味の芸術と思われるほどのうまさに仰天だ。黒豚の豚カツなどは大変おいしいと聞いていたが、このしゃぶしゃぶもまた絶品だ。一口食べたらファンになってしまうこと請け合い。看板を見つけたら、迷わず入ってみよう。