1998年4月号青森周辺の巻

撮影・取材 入江進

1|2|3|4

ホタテ釜飯

ほたて釜飯弁当

風味の良いしょうゆで煮しめた帆立が10個入っており、ぷりぷり感がたまらない。味付けはちょっとから目だが、茶飯との相性はとても良い。八甲田山麓で採れたキノコや、山クラゲやきんし卵、えびこが彩りを添えている。昭和37年以来の名物弁当。
うに飯 津軽海峡弁当

うに飯弁当

ウニ、タラバガニ、卵の三食弁当は見た目も楽しく、豪華な弁当だ。ウニは磯の香りをそのまま生かすため、酒と塩だけで蒸してある。風味の良いウニだからこそ出来るというもの。口の中で広がる香りは絶品。ちゃめしとの相性も良い。但しカニのうまみが引き出しきれておらず、ウニに負けているのが残念。

津軽海峡弁当

昭和63年の青函トンネルの開通を記念して発売された駅弁。
津軽海峡で水揚げされた新鮮な魚介類を豊富に使っているのが特徴。
パッケージは竜飛岬から眺められる北海道の夕焼けを描いた哀愁漂うもの。いくつものお弁当が並ぶ中でもひときわ印象深い。
陸奥湾産の帆立だぞと言わんばかりに、大振りの帆立が茶飯の上にでんとのっかっている。味付けは程良く、帆立本来の風味を損なうことはない。食感はぷりっとしていて、しっかりとした歯ごたえの中にも柔らかさがあり、地元ならではの品の良さを味わえる。そのすぐ隣には色つやの良いイクラが夕焼け色をしている。こちらもはじけるような触感と口の中に広がる濃厚なイクラの味を楽しめる。但し、少し塩加減が濃いのが気になったが、ご飯との相性はとても良い。さらにその横には魚やイカの煮付けが並び、海の幸オンパレードと言ったところだ。そこでこのお弁当のもう一つ優れているところは、山の幸もバランス良く取り入れられているところにある。こうや豆腐、ふき、ごぼう人参などがさりげなく添えられており、バラエティーに富んでいる。また、シソとカツオ漬けにされたこんにゃくは、あまり経験したことのない食感で、思いの外いけるのには驚いた。最後にデザートとして、青森らしいリンゴのシロップ漬けをいただいたのだが、全体がお醤油ベースの味付けの中で、ほんのり甘い味付けにトータルなバランスの良さを感じた。